妊娠中に「逆子」と診断されてしまったら?
妊娠後期に入り、逆子と診断されたら心配なのが分娩方法ですね。経膣分娩の予定だったのに、逆子がなおらなければ帝王切開になってしまうのかなど、さまざまな疑問が浮かぶかと思います。今回は、逆子と診断されたらぜひ参考にしていただきたい情報をまとめました!
目次
逆子とは?
妊娠経験のない方でも、一度は耳にした事のある「逆子」。通常、出産間近のおなかの中の赤ちゃんは、頭を子宮口のある下に向ける「頭位」という体勢をとることが多いですが、まれに頭が上で、足やおしりを子宮口に向けている赤ちゃんのことを「骨盤位」と呼び、この体勢の赤ちゃんのことを俗に言う「逆子」と呼びます。
実は、半数の赤ちゃんが妊娠初期にはおしりを下にした状態でぷかぷかと浮かんでおり、後期ごろまでは回転したり、子宮の中を自由に動き回っていますが、成長し子宮内の空間が狭くなるとほとんどが35週までには頭が下になるように回転し、体勢が落ち着くと言われています。また、逆子と呼ばれる赤ちゃんは全体の約3~5%程度という統計も出ています。
逆子の原因は?
逆子の状態となるはっきりとした原因は、残念ながらまだ解明されていません。子宮内部の空間の形や羊水の量だと唱える医者や、赤ちゃんが子宮の中で回って向きを変えようとしたら、たまたま胎盤や子宮筋腫があって回りきれなかったなど、さまざまな説が唱えられていますが、それら全てが原因ではないことも明らかです。逆子は偶然起こってしまうものなので、全てがママの体の責任ではありません。あまり思いつめないようにしましょう!
逆子の体勢パターン
逆子と一言で表しても、さまざまな体勢があることをご存知ですか?逆子=帝王切開分娩というイメージがありますが、赤ちゃんの姿勢によっては経膣分娩が可能なことも!逆子で多く見られる4つの体勢のパターンをご紹介します。
単臀位
赤ちゃんのおしりが子宮口に向けられ、両足が上に上がっている姿勢です。経膣分娩が可能な場合もあります。
複臀位
単臀位と同じく、赤ちゃんのおしりが下に向けられ、更に両膝が曲がっている姿勢のことを指します。こちらも単臀位と同じく、経膣分娩が可能な場合も。
全膝位
膝が子宮口に向けられ、立膝をついているような姿勢のことを指します。この体勢も全膝位と同じく、帝王切開での分娩が安全とされています。
全足位
両膝を伸ばし、立っているかのような姿勢です。両足が子宮口の方を向き経膣分娩は困難とされ、こちらのパターンも帝王切開が安全とされています。
以上4つのパターン以外にも、背中を子宮口に向けた「横位」という姿勢の赤ちゃんなど、赤ちゃんによってさまざまな姿勢があり、状態によっては経膣分娩が可能であるなど、慎重に医師と相談することがポイントです。
逆子はなおせる?
逆子と診断され、ママが一番気になるのが出産予定日までに赤ちゃんを頭位になおせるか?ということではないでしょうか。以下、産院でよく指導される逆子をなおすための姿勢と施術をご紹介します。ただし、ご紹介するいずれも確実に逆子がなおるというわけではありません。また、おなかが張りやすい、高血圧ぎみなど妊婦さんによってさまざまな症状がありますが、自己流で逆子をなおそうとせず、必ず医師と相談して適切な指導を受けることが重要ですのでご注意ください!
逆子をなおす姿勢-胸膝位
胸膝位は、逆子なおしとして一番よく指導されている姿勢です。
1.頭や腕が痛くならないようにクッションなどを準備し、
四つんばいになってひじから先を床やクッションにつけます。
2.腰を高くし、胸は床につくようにします。
3.足の間におなかをはさむようなイメージで膝を開きます。
4.10~15分ほどこの体勢を保ちます。時が経つにつれ、
かなり苦しくなりますが頑張って!
5.時間が経ったらすぐに頭を上げず、ゆっくりと横を向いて寝ます。そのとき、赤ちゃんの顔がママの体の右側に向けているようであれば右を下、左側であれば左を下にします。超音波検査などで事前に赤ちゃんの顔の向きをチェックしてから行うことがポイントです!
産院によっては夜寝る前に行うと効果的であると指導されたり、一日一回好きな時間に、という場合もあります。自己判断で行おうとせず、医師や助産師とよく相談してから試してみましょう。
医師や助産師の施術-外回転術
産科医や助産師が行う、妊婦さんのおなかの上から手で赤ちゃんの向きを変える施術のことを、外回転術と呼びます。産科医や助産師であれば誰でもできる施術ではなく、熟練した技術が必要となります。外回転術を行うには胎盤がはがれる危険や施術直後の破水の可能性も伴うため、超音波で赤ちゃんの状態や胎盤、へその緒などを確認しながらかなり慎重に行われます。
1.施術を受ける産院をチェック!
外回転術はリスクも伴うので、仮に、術後赤ちゃんが早産となっても対応できる環境が整った産院で行うのが望ましいです。
2.いつごろ行う?
外回転術で起こるリスクを最小限に抑えるため、早産の時期を超えた妊娠37週以降に行うことがガイドラインで記されていますが、上述のように新生児科などの環境が整った産院では、35~36週の時期に行うことにより成功率があがる可能性があるため、早めに行われる場合も。
3.施術時間はどれくらい?
施術時間自体は2~3分、長くても10分以内で終了します。ただし、産院によっては成功率向上とリスクヘッジのために麻酔を使い、手術室で行うこともあるため、担当医とよく相談することをおすすめします。
逆子の分娩方法
頭位での経膣分娩の場合、体の中で一番大きな頭から狭い産道を進み、それに引っ張られる状態で体が後からついてきます。へその緒も頭より後に出てくるので、圧迫によって赤ちゃんが酸素不足になることも少ないです。しかし逆子の場合、一番大きな頭が最後に残ってしまうので、へその緒が赤ちゃんの頭と産道に挟まれ血流が途絶え、酸素不足による胎児仮死に陥る可能性があります。そのため、逆子の分娩方法は帝王切開が安全だとされているのです。上述の赤ちゃんの姿勢にもあるように、単臀位や複臀位の場合は経膣分娩が可能の場合もあるとされていますが、赤ちゃんやママの健康状態、ママの骨盤の広さと赤ちゃんの頭の大きさや赤ちゃんの大きさなどさまざまな条件をクリアし、リスクを踏まえて行われます。経膣分娩となっても、分娩の進行状況によってはすぐに帝王切開に切り替えられるよう、医師も助産師はもちろん、ママも家族も心の準備が必要です。
まとめ
逆子は妊娠32週ごろまでであれば自然に頭位に戻るとされていて、それ以降も十分可能性があります。無理になおそうとせず、最終的には「赤ちゃんの個性」としてとらえ、分娩方法もそのときの赤ちゃんとママの状態で最善の方法を選択できればいいですね。