無痛分娩について知りたい!

この記事は2019年7月24日に更新されたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

欧米で盛んに行われている無痛分娩ですが、2016年の帝王切開を含む全ての分娩に占める割合の調査によると、日本では6.1%、年間約5万人の妊婦さんが無痛分娩で出産していると発表されました。人数で考えるとものすごく多くの方が無痛分娩を選択されていますが、全体の1割にも満たないということで、選択肢としてはあまり定着していないのが現状です。今回は無痛分娩についてメリットとデメリット、リスクをまとめてみました。

 

目次

無痛分娩とは?

無痛分娩とは、母体に麻酔を打ち陣痛を和らげる分娩のことを指します。麻酔は局部麻酔なので意識はある状態です。「無痛」と言っても、完全に痛みを感じないわけではなく、陣痛促進剤を打ち、子宮口が約3~5cm開くまでは麻酔は打たないこと、また分娩中の痛みの軽減であることが前提です。

 

麻酔薬の投与方法

硬膜外麻酔

無痛分娩で一般的に使用される方法で、硬膜外鎮痛法とも言われます。脊椎の硬膜外腔にカテーテルを入れ、麻酔薬を注入する方法です。痛みを伝える神経である脊髄の近くに注入するので赤ちゃんへの影響はほとんどないとされています。

点滴麻酔

点滴を使い、静脈に麻酔薬を投与する方法です。硬膜外麻酔と比べ鎮痛効果は弱く、微量ですが胎盤を通して赤ちゃんにも麻酔が届きます。そのため、産まれたばかりの赤ちゃんも眠そうであったり、少し元気がなかったりということも。麻酔の影響が消えれば元気になると言われています。

 

無痛分娩のメリット

メリット1 出産がスムーズに進む

一番のメリットと言えば、母体への負担の軽減ではないでしょうか。肉体的、精神的に余裕ができ、自然分娩時より出産がスムーズに進むと言われています。

メリット2 赤ちゃんへの負担が少ない

麻酔を打つことにより、赤ちゃんに影響があるのでは?と不安に思うママも多いと思います。前述の通り、麻酔が与える赤ちゃんへの影響はほとんどないとされています。また、無痛分娩によりママの血流と酸素量を保って分娩ができることも赤ちゃんへの負担が少ないと言われる理由の一つです。

メリット3 母体への負担が少ない

前述にもありますように、肉体的、精神的苦痛が軽減され、全身の筋肉の緊張がほぐれるため、個人差はありますが分娩自体の時間が短く済みます。体力も維持できると言われているので、産後の回復も自然分娩より早いと言われています。

メリット4 計画分娩である

無痛分娩は自然分娩とは違い、分娩日が決まっている「計画分娩」となるので、ママ自身や家族の予定も調節しやすいメリットも。分娩日の予約が必要なので、産院との早めの確認で確保することが必要となってきます。

 

無痛分娩のデメリット

デメリット1 母体の状態によっては無痛分娩ができない可能性も

出血の問題やアレルギーなどの理由から無痛分娩ができない場合として以下が挙げられます。

★血小板減少症など、血液の疾患で出血傾向がある
★脊髄神経疾患がある
★麻酔を行う局所に感染や腫瘍がある
★局所麻酔薬にアレルギーがある

その他、持病や健康状態など医師の診察が必要な場合も。

デメリット2 計画分娩のため、予約数に限りがある

一般的に無痛分娩は自然分娩のように陣痛の始まりを待つのではなく、計画的に陣痛を起こして分娩するので「計画分娩」と言われています。その際必要になるのが産院に分娩の予約を取ることです。通常は妊娠週などから計算、診察などを経て医師が分娩日を調節、決定しますが、出産予定日や前後はすでに予約でいっぱいなんてことも!また、二人目は予定日よりも早く産まれる傾向があるなどから、無痛分娩予約日より早く陣痛が始まってしまうと言うケースも報告されています。無痛分娩の希望であれば、早めに医師とタイミングを相談しておきたいですね。

デメリット3 産院が限られる

欧米では一般的に行われている無痛分娩ですが、日本では無痛分娩を行っている産院は少ないのが現状です。理由は麻酔専門医が少なく常勤できないことや、産院側も極力リスクを避ける傾向にあるという事実が挙げられます。無痛分娩にこだわって自宅や里帰り先から距離があったり、無痛分娩が行えるならどこでもよいという無理な選択のないように、納得する産院を見つけましょう。

デメリット4 無痛分娩にも個人差がある

赤ちゃんへの負担が少ないと言われていますが、麻酔の効き具合や陣痛の状態などの理由から産まれてくるのに時間がかかり、吸引分娩や緊急帝王切開などとなるケースも多数報告されていることも事実です。自然分娩と同じく個人差があることも知っておきたいですね。

デメリット5 費用がかかる

麻酔や陣痛促進剤を打つなど、自然分娩では施さなかったり、投与の少ない施術などにより約3~12万円ほど費用が上乗せされることもデメリットの一つとして挙げられます。産院によって費用は違うので、無痛分娩を考える際に要チェックです!

 

無痛分娩のリスク

2008年から2017年の間で、無痛分娩の際に起こった医療事故として報道された事例は8件あります。いずれも硬膜外麻酔での無痛分娩で、主な原因はカテーテルがくも膜下に留置されたため、局所麻酔薬が注入されたあと全脊麻となり、その診断や蘇生が遅れたことにあります。更にもう一点、麻酔専門医や産科、小児科の医療スタッフが充実しておらず、できない診療体制で無痛分娩が実施されていることと報告されています。このようなリスクを避け安心して出産するために、以下をチェックしてみましょう。

 

チェック1 医療スタッフが不足していないか

前述の通り、麻酔専門医や産科のスタッフが不足しており、緊急時にすぐ対応できないことが問題視されています。ホームページやパンフレットでは安全性を謳っていても、不安に思うことがあれば直接担当医に質問してみるといいでしょう。

チェック2 地域医療との連携があるか

大学病院や総合病院などの大型医療機関以外で出産を考える場合、緊急時の連携先や搬送先について質問しておくと安心です。地域医療との連携が取れておらず、医療体制に不安を感じた場合は再度検討することをおすすめします。

 

経験者の声

筆者の周りで無痛分娩を経験した友人を探したところ、二人に話を聞くことができましたのでご紹介します!

Aさん(2児の姉妹のママ)

「一人目は自然分娩だったので、産みの苦しみを経験してから無痛分娩に興味を持ちました。二人目を授かったとき、出産予定の産院に無痛分娩を勧められ、リスクなどを検討した後に同意しました。いざ出産と言うとき、助産師さんなどの合図でいきみ、痛みをそれほど感じることなく無事次女を出産。一人目の分娩のときとは違い体力も気力もあまり消耗していなかったので、ひと目次女を見た瞬間『なんてかわいいの!』と叫んでしまうくらいに心に余裕が(笑)。精神的に楽なので無痛分娩にしてよかったと思います。」

Bさん(男の子のママ)

「高齢で痛みに弱いという理由から無痛分娩で出産することに。これまで大きな手術をしたこともなく、麻酔にすら恐怖を覚えていましたが、分娩日に打った陣痛促進剤によりだんだん痛みが増してくると『これ以上の痛みは無理! 無痛分娩にしてよかった……』と始めて感じました(笑)。しかし麻酔の影響で血圧が下がり気味だったようで、リスクと常に隣り合わせだったと感じます。」

 

まとめ

どのような分娩方法でもリスクはありますが、母子共に健康な出産であるように事前の念入りなリサーチは必要ですね。信頼のできる産院で、メリットとデメリット、リスクが本当に自分の体と理想に合っているのか今一度検討し、納得のいく出産ができたらいいですね!

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ナノマム編集部

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