産後の生活を見据えた妊娠中からの準備
昨今、ようやく「産後ケア」という言葉がよく聞かれるようになりました。
それは「産後うつ・幼児虐待・離婚率の上昇」という『出産』を起点に起こる社会問題が明るみに出てくることが増えたから。しかし、それでもまだ出産はおめでたいことと祝福されることが多く、「産んだ人の健康」は放置されがちです。
目次
「出産準備」ときくと、何が思い浮かびますか?
・マタニティインナー
・赤ちゃんの肌着やおくるみ
・おむつ替えグッズ
・ベビーバスやベビーベッド、布団
などなど、どれにしよう?と考えることも、幸せな気分になるようなアイテムが浮かぶ人が多いでしょう。
これらももちろん大切な準備ですし、赤ちゃんの誕生が待ち遠しくなりますよね。
しかし、実はもっともっと大切な準備があります。
それが「産後の生活を見据えた準備」です。
出産後の体と心は、出産前とガラッと大きく変化します。
- 出産が母体に与えるダメージは想像以上。痛みと違和感が全身を襲います。
- 赤ちゃんの命を預かっている緊張と重圧。
- 新生児のお世話は初めてのことだらけ。夫婦だけではまわりません。
- 赤ちゃんに合わせる生活。終わりのない睡眠不足。
- 気づくと、人と話さない日々。社会から孤立していく不安。
ざっとあげてみても、これだけでの変化が、母となった女性の心身に降りかかります。
なんとなく聞いたことはある。すでに経験したこともある。
だけど「生まれてみないとわからない・・・」「産んだらなんとかなるはず」などと、たかをくくっていませんか?
もしくは「からだは元に戻るんだろうか?」「産後うつ、私もなるのかな?」とやみくもに不安になっていませんか?
そこで、産んでみたらどうにもならないことだらけ!な生活に翻弄されないために。
生活の基盤が崩れてしまうことで、幸せいっぱいのはずの家庭が殺伐とした空間に豹変しないために、おすすめしたいことがあります。それが、産褥期(さんじょくき)の養生と、その時期を見据えた妊娠中からの準備です。
産褥期の養生とは?
出産後6-8週間を「産褥期(さんじょくき)」と呼びます。
この時期に十分養生できないと、のちに様々なトラブルが起こる可能性があります。
<この時期にやってほしいこと>
■とにかく横になって過ごしましょう。
■家事は行わないようにしましょう。
■テレビや携帯、パソコン画面は見ずに、目を休めましょう。
産褥期シミュレーションのすすめ
とはいえ、この休養には事前の準備が必要で、パートナーを中心とした周囲の人々のサポートが大切です。
産後の身体の状態と休養が必要な理由を知り、そのためにはどうするか、どんな環境とサポートが必要かを夫婦で話し合いましょう。
<夫婦で準備したいこと>
☑産褥期の大切さを学ぶ
☑ゆっくり休める環境づくり
☑家のどこに何があるかを共有
☑一日のタイムテーブルを作る
<産後の生活において、主にサポートが必要なもの>
☑食事づくり・買い物
☑掃除
☑洗濯
☑赤ちゃんの沐浴
☑上の子の相手
☑話し相手になる
<誰がやる?>
☑パートナー
☑両親・親戚
☑友人
☑自治体の産褥サポート
☑家事代行などの外部サービス
大変な産後だからこそ、支え合う喜びがあります。
このように産後1ヶ月の生活を想定し、家事のアウトソーシングや家族の協力体制などを確認し、できる手配は事前にしておきましょう。この時に必要なのは、一人で抱え込むのではなく、周りの人に「ゆだねて感謝する」こと。
また、この準備は手間も時間もかかるけれども「夫婦で一緒に準備できた!」という安心感が、その後の人生においても、大きな信頼感につながっていきますよ。
産後セルフケアインストラクター 山本裕子
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