”風疹”ってどんな病気?

この記事は2018年11月2日に更新されたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。

現在、流行が話題になっている病気に「風しん」があります。ニュースなどで耳にした方も多いと思いますが、風しんとはいったいどんな病気で、何が問題になるのでしょうか。

目次

風しんってこんな病気

風しんは全身に細かい発疹がでて、発熱やリンパの腫れをともなう病気で、風しんウイルスにより感染します。発疹や発熱をおこすウイルス疾患ということで、以前にご紹介した「麻しん(=はしか)」と共通点はあるのですが、麻しんと比べると症状は軽く3日くらいで軽快するため、「3日はしか」という別名がつけられています。仮にお子さんが風しんにかかっても、あまり心配する必要はなさそうです。また、風しんに似た発疹や症状を起こすウイルス感染症や細菌感染症はたくさんあるため、7割程度のお医者さんが、血液検査なしで症状だけで風しんと断言することには自信がないと答えているデータもあります。

では、風しんはなぜ怖いの?

風しんは、症状が軽めだからと言って見過ごすことができない問題があります。それが、「先天性風しん症候群(Congenital rubella syndrome:CRS)」の存在です。先天性風しん症候群とは、妊婦さんが妊娠初期に初めて風しんウイルスに感染すると胎盤を通じて赤ちゃんに感染し、生まれつきの病気・異常を引き起こしてしまうことです。妊娠1か月での感染では先天性風しん症候群の発生率は60%以上になるとも言われています。感染時期におなかの中で作られる器官に影響を及ぼすため妊娠1~2か月では心臓の奇形、白内障、難聴が多く、3か月以上で難聴が起きやすいとされています。先天異常のほかにも低体重、貧血、肺炎、脳炎、若年性糖尿病などとの関係も指摘され、いくつかの異常が重なって起きてしまう場合もあるのです。

風しんと風しんワクチンの歴史

1960年代、風しんは世界中で大流行して日本でも何百人という赤ちゃんが先天性風しん症候群にかかって生まれてきていた時代がありました。1977年から風しんワクチンの定期接種ははじまりましたが、対象が女子中学生のみであったり接種率が上昇しない期間があったりでなかなか風しんにかかる患者さんの数は減りませんでした。1995年になってようやく12~90か月の男女に対する定期接種が開始されて以降、患者さんは減って先天性風しん症候群の報告も激減したのですが、ワクチンの状況が上述のような感じだったので、現在でも風しんに対する免疫がないひとはかなりいると考えられています。とくに30~40代の男性は、ほかの世代、そして同世代の女性よりも風しんの免疫を持っていない人が多いのです。

風しんワクチンの目的とは

風しんは症状が軽く、大人がかかってもそれと気づかないで治ってしまうケースもあります。しかしインフルエンザと同じように咳やくしゃみなどで飛沫感染をする風しんウイルスは感染した人からばらまかれて、いろいろな人に移してしまう可能性があるため、たまたま抗体を持たない妊婦さんがうつってしまった場合、おなかの中の赤ちゃんが障がいを負ってしまう危険があるのです。本人がかかってもそれほど重篤な病気ではない風しんのワクチンを接種する一番の目的は、先天性風しん症候群を予防することにあります。とくに妊娠可能年齢の女性で、風しんにかかったことがない・あるいはかかったかどうか覚えがなくて、ワクチン接種の記録もない場合には必ずワクチンを打つことが勧められます。

妊娠と風しん

妊婦検診では、多くの場合初期の段階で血液検査によって風しんに対する免疫(抗体)があるかないかを確認します。妊娠後に、妊婦さんの風しん抗体が充分ではないと判明した場合、妊婦さんは風しんのワクチンを打つことができませんので、とにかく風しんのウイルスにさらされないようにするため、極力人の多い場所などへの外出は避けましょう。また妊婦さんの旦那さんやご家族で、やはり風しんの抗体が充分でない人がいれば、その人たちはすみやかにワクチンを接種することが勧められます。

妊娠を望む方と風しんワクチン

風しんワクチンは生ワクチンであり胎児への感染や悪影響の可能性が完全には否定できないため、妊婦さんは打つことができません。妊娠を望む女性が風しんワクチンを打つと決めたら接種前1か月間と接種後2か月の間は避妊が必要です。ただし、万が一ワクチンを打った後で妊娠が判明した場合でも、妊娠中に風しんワクチンを接種した女性から先天性風しん症候群の赤ちゃんが生まれたという報告はないため、妊娠を中断する必要はないとされています。

子どもと風しんワクチン

現在、風しんワクチンは法律に基づいて市町村が主体となって実施する「定期接種」となっており、多くの場合、麻しんと合わせて「麻しん・風しん混合(MR)ワクチン」として2回打つことになっています。1回目は1歳代、2回目は小学校入学の前年(いわゆる年長さんのとき)にうつことになっています。1回目は1歳の誕生日を迎えたらすぐに打つことをおすすめしますが、地域で流行している場合などは、生後6か月からの接種も可能ですのでかかりつけの先生と相談してみましょう。2回目は、年長さんの1年に打ちそこなうとそれ以後の接種は定期接種外となって費用が全額自己負担になってしまいますので、注意が必要です。

おとなと風しんワクチン

風しんの抗体価を測定して、免疫が充分でなければワクチンを打つ必要がありますが、抗体測定には保険がきかないため、風しんにかかったことがあるかどうかあいまいで、ワクチン接種も記録がない方は抗体測定をしないでいきなりワクチン接種でもかまいません。たとえ昔風しんにかかったことがある、と思い込んでいても先述の通り似たような症状の病気は多くありますので、医療機関で風しんと確定診断を受けた記録がはっきり残っている場合以外は、かかったことがないと考えた方がいいでしょう。すでに免疫がある人がさらにワクチンを打つことには、とくに問題はありません。岐阜県では、妊娠を希望する女性や、じゅうぶんな免疫をもっていない妊婦と同居する方は、無料で風しんの抗体価をチェックすることができます。くわしくは、県のホームページをご参照ください。
http://www.pref.gifu.lg.jp/kodomo/kenko/kansensho/11223/fushin-koutai.html

予防できるはずの病気や障がいで後悔をしないために

先天性風しん症候群はワクチンの注射1本で防ぐことができる障がいです。すべてワクチンとはそういうものなのですが、けっして本人の病気を予防するためだけに行うのではありません。世の中に病気が流行することを防ぎ、また障がいで苦しむ子どもを増やさないためにも、風しんをはじめとするワクチンの接種を、おねがいいたします。

 

 

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墨俣医院院長 熊崎俊樹

1977年生まれ。2007年医師免許取得。首都圏の病医院で研鑽を積み、2014年地元である岐阜に戻る。岐阜中央病院内科を経て2016年3月より墨俣医院院長に就任。墨俣医院では、赤ちゃんからお年寄りまでをモットーに一般内科・小児科、糖質制限を取り入れた生活習慣病指導、けがややけどの湿潤療法などに力を入れて診療しています。私生活では3児の父として育児もがんばっています。http://www.sunomataclinic.com

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